北朝鮮で韓流視聴者の公開処刑急増 脱北者が語る衝撃の実態
北朝鮮で韓国ドラマやK-POPを視聴しただけで命を落とす人々が増えている──。そんな衝撃的な実態を、最近脱北者たちが明らかにしている。2020年に制定された「反動思想文化排撃法」以降、韓流文化に触れることが国家への反逆と見なされ、公開処刑という極刑が相次いでいるという。今回は、その生々しい証言と背景に迫る。
「韓流を見ただけで銃殺」北朝鮮で急増する公開処刑の実態
2020年12月、北朝鮮当局は「反動思想文化排撃法」を制定し、韓国や日本、米国などの映像や音楽を視聴・拡散する行為を「反体制分子の活動」として厳罰の対象とした。この法律の下では、単なる視聴やコピーだけでなく、周囲に見せたという疑いだけでも死刑が科されることがあるとされる。法施行からわずか数年で、韓流関連の摘発と処刑は急速に増加しているという。
脱北者の証言によると、公開処刑は「人民教育」という名目で大勢の住民が動員される中で実施される。2022年7月、黄海南道碧城郡の出身である脱北者・金日赫さん(35)は、韓流ドラマ3本と韓国の歌約70曲を視聴・配布したとされる人物が射殺される瞬間を目撃したという。その場では、数百人の村民が雨の中に立たされ、彼らの目の前で銃声が響いた。処刑の残酷な光景は、恐怖と沈黙を社会全体に植え付けるための“見せしめ”だったと語る。
金さんによれば、こうした公開処刑は2020年以降急増した。以前なら年に一度あるかないかだった死刑が、今では数か月に一度の頻度で行われているという。処刑の理由は必ずしも凶悪犯罪ではなく、「外国映像を見た」「韓国歌謡を共有した」など、思想犯罪が中心になっている点に、北朝鮮社会の統制強化が露骨に表れている。
脱北者が語る恐怖の現場 反動思想文化排撃法の影響とは
脱北者たちは口を揃えて、「反動思想文化排撃法」施行後、国内の雰囲気が一変したと証言する。韓国のドラマをこっそり視聴していた人々の間にあった「見つかっても罰金か労働収容所行き程度だろう」という油断が、突如、死刑への恐怖へと変わったのだ。違法USBの売買は地下市場でも激減し、取り締まり部隊は各地で家宅捜索を強化しているという。
人気記事:金正恩氏が反応「過激アンダーウェア」の美女モデル写真金日赫さんが見た処刑では、罪人2人が並べられた。そのうち1人は韓流視聴者、もう1人は9年前の殺人事件の犯人だった。両者が同列に並べられたこと自体、当局が思想犯罪を「殺人」と同等の重罪に位置づけていることを象徴している。金さんは、「他の住民に『韓流を見ることは命を捨てる行為だ』と刻みつけるための演出だった」と振り返る。
専門家は、こうした処刑の頻発について「体制維持への焦りが背景にある」と指摘する。外部情報が国内に流入することを恐れる当局は、恐怖による支配を強化しているのだ。韓国の映像文化は独裁国家にとって最大の“侵入経路”であり、その影響力を封じるためには、命を奪ってでも見せしめる必要がある──それが今の北朝鮮の現実なのである。
「韓流を見ただけで銃殺」という現実は、現代社会では到底信じがたい光景だ。しかし、脱北者の証言により、北朝鮮ではいまもこのような人権侵害が繰り返されていることが明らかになった。文化を罪に問う社会では、国民は自由も希望も奪われる。国際社会がこの現状に目を背けず、北朝鮮の情報封鎖と人権弾圧に対してどのように向き合うのかが、改めて問われている。
