中国軍機のレーダー照射で緊張高まる東アジア、日韓が電子戦強化へ

中国軍機による自衛隊機へのレーダー照射問題が再び東アジアの安全保障環境に緊張をもたらしている。近年、南シナ海や東シナ海での中国活動が活発化する中、軍事的な「信号」が偶発的な衝突に発展する危険性が高まっている。こうした事態を受け、日本と韓国は電子戦を中心とした防空能力の強化に動き出しており、空のパワーバランスに微妙な変化が生じようとしている。
中国軍機のレーダー照射で緊張高まる東アジア、進む日本と韓国の警戒強化
中国海軍所属の軍用機が日本の海上自衛隊哨戒機に対し火器管制レーダーを照射したとされる一件は、両国の防衛当局間で強い緊張を生んでいる。火器管制レーダーは攻撃準備を意味する行為とみなされることが多く、極めて挑発的な行為と受け取られる。日本政府は外交ルートを通じて抗議し、中国側に再発防止を求めているが、現場の空域では依然として相互警戒が続いている。
問題の中国機が使用したとされるレーダーは、最新のアクティブ電子走査アレイ(AESA)タイプで、遠距離でも目標を高精度に捕捉できる性能を備えていると報じられている。これにより、中国軍が持つ索敵・追尾能力の向上が改めて浮き彫りになった。背景には、人民解放軍空軍が急速に進める近代化計画があり、特に南シナ海から東シナ海にかけての制空圏確保を狙った戦略的意図が透けて見える。
(参考記事:かつてタイ空軍に「惨敗」した中国空軍…空自との実力差は?)
こうした挑発行動を受け、日本と韓国は警戒監視体制の見直しを進めている。日本では航空自衛隊がレーダーの情報共有体制を強化し、韓国空軍も早期警戒機による常時監視を拡充している。両国とも、単なる防衛の枠を超えた「電子戦領域」での防御力の向上を重視しつつあり、中国との技術的ギャップを埋める戦略に力を注いでいる。
ステルス戦闘機と電子戦装備で競う日韓、変わる空のパワーバランス
人気記事:金正恩氏が反応「過激アンダーウェア」の美女モデル写真中国の航空戦力は、近年ステルス戦闘機J-20や艦上戦闘機J-35の実戦配備によって質的に大きな進歩を遂げている。特にJ-20はアメリカのF-22に匹敵するとされ、長距離ミサイルと高性能レーダーを組み合わせることで制空権争いにおいて優位に立つ可能性がある。これに対抗するには、従来の防空戦略だけでなく、電磁波空間を制する「電子戦能力」が決定的に重要になると専門家は指摘する。
日本では航空自衛隊のF-15J改修計画が進行中であり、新たに搭載される電子戦システム「EPAWSS(Eagle Passive/Active Warning and Survivability System)」は、敵レーダー波の探知・妨害を可能とする強力な装備だ。これにより、ステルス機に対しても一定の抗堪性を持つ防空網を構築できると期待されている。一方、韓国もF-15KやKF-21への電子戦装備強化を進め、米国・欧州企業との共同開発によって最先端技術の導入を図っている。
日韓両国は、政治的な対立を抱えつつも、防衛面では情報共有と協力の必要性が増している。特に電子戦分野では、共通の脅威に対するリアルタイムなデータ交換が安全保障の要となる。今後、日韓が互いに技術的能力を高め、米国を中心とした同盟ネットワークの中で電子戦・サイバー戦を一体的に運用できるようになるかが、東アジアの安全保障環境を左右する分岐点となるだろう。
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中国軍によるレーダー照射事件は、単なる一時的な摩擦ではなく、東アジアの空の主導権争いが新たな段階に入ったことを示している。ステルス技術と電子戦能力を軸にした軍事バランスの変化は、地域の安全保障構造そのものを揺るがしかねない。今後、日本と韓国がどのように協調し、抑止力を高めていくかが、緊張緩和への鍵となりそうだ。
