金正恩式ハコモノ行政の裏に「血の粛清」
金正恩式ハコモノ行政の裏ではこうした幹部、高官達に対する粛清・処刑が行われていたわけだが、それ以上に派手なイベントの裏では常に北朝鮮民衆らの多大な犠牲が払われている。記憶に新しいところでは2012年の春、万単位の餓死者を出した「黄海道飢饉」が思い出される。
金正日総書記が死亡した翌年、金正恩氏の最高指導者「即位」を祝う際、北朝鮮当局は数カ月にわたり、首都・平壌の市民に特別配給の大盤振る舞いを行った。大規模な祝賀イベントも開き、ハコモノ行政も強化。その結果、国内の穀倉地帯である黄海北道・南道(以下、黄海道)から、食糧を最後の一粒まで奪い取り、黄海道の人々は、突然の飢饉の前に次々と倒れた。その実態が伝わる中で、「人肉事件」の証言さえ、多数含まれていた。
金正恩氏は、朝鮮労働党70周年記念行事の演説で、97回も「人民」という言葉を使った。「国の大本である人民より貴重な存在はなく、人民の利益より神聖なものはありません」と語ったが、その言葉があまりにも虚しく響き渡る。
